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数多くのスタジオジブリ作品の背景画を手がけてきた男鹿和雄。アニメーション制作現場では数え切れないほどの背景画、絵を描くことが要求され、男鹿はまさに絵職人と言えます。その制作に欠かせないのが筆であり、過酷な使用に「一本一本手作り」された熊野筆が使われています。
男鹿の繊細で圧倒的な筆致力で生み出された作風は、制作現場で確固たる支持を得ており、誰の心をも和ませる不思議な魅力にあふれています。本展では、アニメーションの世界を筆と一緒に支えてきた男鹿和雄に注目し、彼が描いた絵本の原画、挿絵、スケッチ等約150点を紹介します。自然に対するやさしい眼差しで描かれた、男鹿和雄の作品をお楽しみください。
熊野筆との出会い
男鹿が熊野筆に出会ったのは、今から8年前、2002年春のこと。当時、スタジオジブリ作品からは一線を引き、フリーで活動していたが、10年ほど前から筆の品質低下に悩み、スタッフとともに筆を探していた。そんな時、自分が挿絵を描いた、女優・吉永小百合の朗読本原画が、筆の産地にある筆の里工房に展示されるというので、一人でふらりと往訪。筆の悩みを話したところ、筆を試作してくれることになったのである。
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早速、大切にしていた使い心地の良い筆を見本に送り、熊野筆の職人との試行錯誤が始まった。しかし、好みの筆はそう簡単に作れるものではない。ちょっとした原毛の配分、長さによって、描き味が大きく変化する。また、使ううちに描き味も変わってくる。筆職人は現場の要望に答えるべく何度も試作をし、改良を重ねてきた。「実用には耐えるが、満足するものではない」と男鹿たちはいう。アニメーションの絵職人と、筆職人による妥協のないものづくりは今も続いている。
「男鹿さんの描く絵」スタジオジブリ美術監督 田中直哉
人々の営みや花鳥風月に暖かい眼差しを注ぐ男鹿さんの絵には、観る人を和ませる心優しい豊かさと、その穏やかな画風の中に力強い情感を包み込んだ、不思議な魅力が混在しているのです。男鹿さんの絵の魅力は、その優しさと凛々しさを併せ持つ事にあるのだと思います。
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